ピュア・テクノロジーズ株式会社
		【物流】は消費のインフラとして役割を果たしている。その中で生産者と消費者をつなぐ中継地として、モノの交通整理に当たっているのが物流センターで、商品の適正在庫を保ち、確実に店舗や消費者のもとに置く届けることで消費活動を支える。
中央物産株式会社は1920年に創業した化粧品・日用品の専門商社。全国に9拠点の物流センターを備え、約600社のメーカーの約10万アイテムを扱っている。それぞれの商品は基幹系システムにより在庫数や入荷数、出荷数、配送先などが管理されており、その情報をもとに物流センターが動く。
同社の最新物流拠点である平塚LC(ロジスティクスセンター)では、現場のスタッフに情報を届ける帳票(ラベル)の制作で、帳票ソフトウェア【Re:Porter】を採用し、大幅なコスト削減と生産性向上を果たしている。延床面積が約4万1,000㎡という巨大な施設で、メーカーに発注した商品が届くと帳票を貼り、保管する。出荷時には商品に小売店側が希望する仕様の帳票を貼り、トラックに乗せる。
1日にプリントされる帳票は1~30,000枚、1回に出力指示される帳票枚数は3~4,000枚にも及ぶ。出力用の帳票PDFは、基幹系システムで管理されている商品情報のデータから、取引先ごとに異なる記載位置に必要情報を紐づけして作成。納品日厳守が鉄則で、1分1秒を争う物流センターでは帳票のPDFの生成時間、プリンターへのスプール時間、ファーストプリントまでの時間が業務に影響を及ぼすが、【Re:Porter】を利用する平塚LCでは帳票プリントに関するトラブルやストレスがほぼ皆無となっている。
同社では帳票の仕様変更のたびにデザインや基幹系システムとの紐づけ、テストなどの開発を外部受託していた。仕様変更に伴う開発費は1件当たり数10万から100万円前後。仕様変更回数は年間に10回は下らない。開発期間は要件定義からテスト期間を含めると2~3ヶ月で、長いと4ヶ月かかる。バーコードの印字位置や一部だけ文字の白文字への変更でも、自社の管理業務の改善に伴う仕様変更でも、ほとんど同じ費用と開発期間を要する。
平塚LCでは、将来的な全拠点の情報の一元管理に向けて他のLCに先駆けて基幹系システムを更新。基幹系システムから帳票システムを切り離し、帳票作成の内製化を検討した。
しかし、当初、採用を計画していた帳票システムはライセンスもPCサーバーのコア単位で割り当てられる為、導入コスト、保守費用が高額となってしまい、費用対効果があまり見込めなかった。費用がかかる分、スタッフに割り当てできるライセンスが限られ、業務を分担しにくい点もネックとなった。
【Re:Porter】はライセンスがPCサーバー単位で導入費用が半分以下。保守費用も10分の1と、高い効果が想像できた。帳票デザインツールがフリーライセンスのため、全スタッフで利用できる点も魅力だった。
同社、物流本部システム企画室長の児玉栄一氏は、「この費用で本当にできるのかと最初は不安でした。まずは安価なサーバーを購入して開発ライセンスでテストしたのですが、処理速度が非常に早く、3,000枚でもほんの1・2秒でスプールされました。」とレスポンスの速さに衝撃を受けた。
平塚LCで【Re:Porter】を導入して2年が経過。順調に運用されており、今後、他の帳票にも【Re:Porter】を利用するほか、情報の一元管理に向けた各拠点の基幹系システムの更新のタイミングで、他のLCにも展開していく。
現在、平塚LCの帳票開発に携わるスタッフは4名。GUIによりコードを意識しなくてもデザインが可能で、基幹系システムからアウトプットされたCSVの項目と、記載位置を紐づけするだけで作業が終了する。外部に委託していた帳票ラベルの費用はゼロとなり、高いコスト削減効果が表れた。開発期間は1~2日に短縮。バーコード位置の変更など簡単な修正であれば当日できてしまう。
「何種類かのサンプルが用意できるので、意思決定までの時間も短縮します。自社内であれば現場に確認後、すぐに修正結果を示すことができます。」
【Re:Porter】はPDFを生成してファーストプリントに至るまでに約2、3秒。従来のシステムではおよそ10秒だった。わずか7~8秒の差だが、現場では大きな差となってくる。
「現場の作業員が数秒待てるかどうかです。プリンターさえ動けば、他の作業に移せるのですが、プリンターが反応しないともう一度、プリント支持をかけてしまい、二重に帳票が出力されてしまいます」
作業員がプリント支持をかけたつもりで他の業務に移り、プリンターが止まったままのケースもあった。プリント支持をかけてプリント開始から終了までの間、商品に帳票ラベルを貼付する作業ができない。パート従業員が多いLCではそうした待ち時間がオペレーションコストに跳ね返る。
ファーストプリントまでの時間が短い【Re:Porter】導入後は、プリンターが確実に動き始めることを確認してから、作業員が他の作業に安心して取り掛かれるようになった。また、作業開始時間の2時間前に開始していたプリントの準備が30分前でも十分に間に合うようになるなど、現場の生産性は向上した。
プリンターの紙詰まりによりスプールデータが消えてしまうと、現場ではプリントし直す必要があった。二重にプリントされた帳票ラベルの仕分け作業が発生するほか、貼り間違えのミスのリスクもはらんでいたが、【Re:Porter】の運用開始後はそうしたトラブルやリスクが解消し、「現場が驚くくらい」に帳票ラベル周辺でトラブルは発生していない。
「本当に安定してプリントしています。運用開始後は現場で困ったという声を聞いたことがありません。ラベルが汚れたり、敗れた時に1枚だけ再発行することも可能です。」
帳票ラベルのトラブルはLC内の商品の動きに影響する。確実によどみなく商品を管理し、届けるインフラとしての機能を保つために、帳票プリントの安定は欠かせない。
今回のお客様である中央物産株式会社のご担当である児玉様は帳票ツールに精通されており、【Re:Porter】に対するご要望も非常に高い水準のものでした。
その結果
・【Re:Porter】の15,000ページ/分の高速処理性能。
・【Re:Porter Designer】における LibreOffice の活用。
・ラベルプリンター専用コマンドを使用せずにオートカット機能を実現した設計。
これらの取り組みにより、業務時間の大幅な短縮を実現することが可能となりました。
